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産業医✕中小企業診断士の視点で挑む経営支援

「寝てない自慢」は倒産へのカウントダウン?睡眠負債が奪う経営判断力低下と心臓の寿命短縮

  • 執筆者の写真: 鈴木龍介
    鈴木龍介
  • 6月2日
  • 読了時間: 4分

こんにちは。産業医・中小企業診断士の鈴木龍介です。

ありがたいことに、このブログを読んだ経営者仲間から「耳が痛いけど、これなら実践できる!」と嬉しい反響をいただいております。

さて、経営者が集まる会合などで、よくこんな会話を耳にしませんか? 「昨日も3時間しか寝てなくてさ」 「忙しすぎて寝る時間がもったいないよ」

かつては「寝ずに働くこと」が美徳とされた時代もありました。しかし、産業医、そして循環器専門医としての私の見解は180度異なります。

社長、「寝てない自慢」は、会社を倒産危機に陥れるカウントダウンのようなものです。今回は、睡眠不足が経営と心臓に与える恐ろしいインパクトについてお話しします。


1. 診断士の視点:寝不足の脳は「酒気帯び運転」と同じ

経営者の最大の仕事は「意思決定(ジャッジ)」です。 新規事業への投資、重要な契約、人員の配置……社長の一瞬の判断ミスが、会社を大きく傾けることは珍しくありません。

しかし、人間は「17時間連続で起きていると、血中アルコール濃度0.05%(酒気帯び運転)と同等まで脳のパフォーマンスが低下する」という研究データがあります。 つまり、睡眠不足のまま重要な経営判断を下すのは、「お酒を飲みながら役員会議で決裁ボタンを押している」のと同じ状態なのです。

「時間がないから寝ない」というのは、タイムマネジメントとしては最悪の選択であり、経営判断の質を著しく下げるハイリスクな行為です。


2. 循環器医の視点:夜間の高血圧が心臓を破壊する

次に、専門である循環器の視点からお話しします。

本来、睡眠中は副交感神経が優位になり、血圧が下がって心臓や血管が休まる時間です。しかし、睡眠時間が短かったり、強いストレスを抱えたまま眠ると、夜間も交感神経が緊張したままになり、血圧が下がりません。

さらに、太り気味の社長に多い「睡眠時無呼吸症候群(SAS)」が重なると最悪です。睡眠中に何度も呼吸が止まることで激しい酸欠状態になり、心臓は「おぼれている」のと同じくらい必死に血液を送り出そうとします。

これが、高血圧、不整脈(心房細動など)、そして突然死に繋がる心筋梗塞や脳卒中のリスクを跳ね上げる原因になります。夜、心臓をブラック労働させてはいけないのです。心臓もブラック企業で働きたくないはずです。しかも、転職もさせてくれない。


3. タイパ至上主義の社長へ贈る「睡眠のクオリティ投資」

「睡眠時間を8時間確保しろ」と言われても、現実的に難しい日もあるでしょう。だからこそ、経営者には「睡眠の質(クオリティ)への投資」を提案します。限られた睡眠時間で、いかに脳と心臓を休ませるかという戦略です。

  • 寝る前の「情報遮断(デジタルデトックス)」 ベッドに入ってからスマホで売上データやニュース、メールをチェックするのは厳禁です。脳が戦闘モード(交感神経優位)になり、睡眠の質が劇的に落ちます。寝る30分前にはスマホを置き、経営から脳を切り離しましょう。

  • 「寝酒」は睡眠の質を下げるコスト お酒を飲むと寝付きは良くなりますが、夜中にアルコールが分解される過程で眠りが浅くなり、心拍数が上がって心臓が休まりません。「寝るための深酒」は、翌日のパフォーマンスを下げるだけの高コストな悪習慣です(お酒は会食など、楽しむ場だけに留めましょう)。


結論:一流の経営者は「引き際」と「寝際」が美しい。

睡眠を削って時間を生み出すのは、企業の「タコ足配当」のようなもの。一時的には回っているように見えても、いつかショートして大火事を起こします。

「しっかり寝て、クリアな脳で最高の判断を下す」 これこそが、中小企業の業績を最大化し、かつ社長自身の命を守る、最も費用対効果の高い経営戦略です。

「日中どうしても眠い」「イビキがうるさいと言われる」「朝起きた時に疲れが取れていない」という社長室の皆様。それは、心臓からの黄色信号かもしれません。

会社の未来のために、まずは今夜の「寝る時間」をスケジュール帳に確定させることから始めてみませんか?気になる症状があれば、いつでも経営と健康の専門家にご相談ください。

 
 
 

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